株主の皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶びもうしあげます。

当事業年度(2020年7月1日~2021年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的として、2020年4月に政府による緊急事態宣言が発出されて以降、当事業年度にかけて経済活動が大きく抑制され ました。また、政府及び地方自治体は、感染症拡大に伴い同宣言及びまん延防止重点措置を繰り返し発出するものの、感染者数は依然として拡大しており、引き続き景気動向は不透明な状況が見込まれます。

外食産業におきましても、コロナ禍において、店舗の臨時休業や営業時間の短縮、酒類の提供自粛等が求められており、来店客数が大幅に減少しております。とりわけ、都心・繁華街型立地の総合型居酒屋は長期間にわたり休業せざるを得 ない状況が続いており、厳しい経営環境が続いております。

このような状況の中、当社は、お客様の価値観や行動様式、ニーズが大きく変化する転換期であると認識し、大胆な変革を行う絶好の機会であると捉え、ダイナミックな事業構造の転換に取り組みました。

コロナ禍以前から着手していた従来の主力業態である総合型居酒屋店舗の大幅な縮小により、当事業年度には不採算店舗の閉店が概ね完了いたしました。また、収益性の高い郊外住宅街立地に出店する低投資中小型店舗である大衆酒場・ 日常食業態への転換等も進んでおります。これにより、高い固定費(賃借料、人件費)の負担が減少し、利益圧迫要因が軽減化されており、経営のコントロールが効きやすい状態となり店舗運営の品質向上が図られています。さらに経費 削減のため、食材配送費、販売促進費、採用費、支払報酬ならびに店舗の賃料減額交渉等、あらゆる支出について見直しを行いました。

当事業年度における出退店につきましては、新型コロナウイルス感染拡大による影響の変化を個店ごとに慎重に見極め、店舗収益の回復に相当程度時間を要すると判断した店舗を中心に、直営店36店舗及び運営受託店3店舗の閉店を 実施いたしました。また、フランチャイズ店2店舗が閉店となりました。既存業態の新規出店については、キャッシュ・フローを最重要視し、当初計画していた出店を一時見送ることといたしました。他方で、大きな投資を必要としない運 営受託事業については11店舗を新たに受託いたしました。新規業態については、水産事業プロジェクトの取り組みによる3店舗(業態変更2店舗を含む)を出店いたしました。これにより当事業年度末における店舗数は、直営店29店舗、 運営受託店21店舗、フランチャイズ店4店舗となりました。

これにより、当事業年度の売上高は21億2百万円(前期比71.6%減)、営業損失は17億47百万円(前期は営業損失20億9百万円)、経常損失は14億26百万円前期は経常損失19 億98 百万円)、当期純損失は18億17百万円(前期は当期純損失27億13百万円)となりました。

【ノンアセット型ビジネスモデルの拡大】

大きな固定投資を伴わない官公庁や温浴施設等を中心とする、飲食施設の運営受託事業を拡大するとともに、自社運営サイト「ひとま(https://hitoma-tuhan.com/)」他、EC通販事業等の拡大してまいります。

【低投資型郊外中小型店舗の出店】

「アカマル屋」「焼肉万里」は、郊外に位置する中小型店舗であり、コロナ禍においても、お客様から一定の支持をいただいております。引き続きブランドの磨き上げを行い、慎重に商圏及び立地条件を見極めたうえで出店してまいります。

【新しい生活スタイルへの適応】

【テイクアウト事業の強化】
「焼肉万里」がプロデュースする焼肉弁当を、百貨店の食料品売場において販売する等、テイクアウトニーズに対応する取り組みを行っております。また、当社既存店舗の厨房設備を活用した「デリバリーサービス(ゴーストレストラン)」の拡大、ランチ時間帯の営業を強化する等、店舗の活用方法の幅を広げてまいります。

【3密(密閉・密集・密接)を避けた運営】
引き続き、従業員の出勤前の検温・体温チェック、適切な手洗い、勤務時のマスク着用等の徹底、店内消毒、扉や窓の開放や換気設備による定期的な換気、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を確保した配席等に取り組みました。

【水産事業の展開】

2020年9月に静岡県沼津漁港において、最古の歴史をもつ「沼津我入道漁業協同組合」と業務提携を行い、水産事業を立ち上げ、同年12月に同漁協の組合員となりました。
これにより、魚市場から直接仕入れることができるようになったことから、当社既存店舗のみならず、他の外食事業者及び、小売事業者に法人営業を行っております。飲食事業で蓄積した食材調達力等をかけ合わせ、沼津の鮮魚や加工品等をブランディングしていくことで付加価値を高め、今後も販路の拡大に努めてまいります。